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2019.07.02
学長推薦図書 『あら皮』 ( La peau de chagrin )

タイトル 『あら皮』 ( La peau de chagrin )

  • 著者名
    オノレ・ド・バルザック ( Honoré de Balzac )
  • 出版年
    2000年 ( 初版 1831年 )
  • 出版社
    藤原書店 ( 初版 C. Gosselin , フランス )
古典と言われるような本は時代を超えて国の内外を問わず読者を持っている。

私がこの一冊に出会ったのは、もうかなり以前のことである。若いころである。
著者は有名なフランスの文豪・オノレ・ド・バルザックである。(1799-1850)

成功を夢見ている青年がなかなか思うようにいかず、
自殺寸前のところでこの本のテーマとなる「あら皮」にパリのセーヌ川河岸の骨董屋で出会う。
自分の生に絶望しているのなら、これを見てごらんというように骨董屋の老主人から「あら皮」を見せられる。
この「あら皮」を持った途端に青年の思いは次々に実現していく。
しかしその成功と反対に「あら皮」もまた縮小していく。
「あら皮」の縮小は、その持ち主の生命力の縮小衰退を示している。

人生の深い秘密が明らかにされていく。

人生における成功とは何かということを根本的に考えさせる一冊である。

(令和元年7月1日)

本の推薦者

九州栄養福祉大学学長・東筑紫短期大学学長 室井 廣一 むろい ひろいち
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