HOME / ブックリレー「私の一冊」
序文で著者も述べているが、日本文化の特徴のひとつは外来の文化を取り入れて、やがてそれを自分のものとして咀嚼し、自国の風土に合ったものとして作り変えていくことであるという。その観点で分析・体系化された内容は、「現代の日本=色」の中で生活する私たちにとって大きな意味を持つのではないだろうか。 例えば「赤」の系譜では、古代の赤化粧、禁色としての赤、古墳・神社・仏閣を彩る呪術の赤、雅趣としての根来(ねごろ)の赤、疱瘡絵(ほうそうえ)の赤 ~都市空間を走る赤(1950年代:中原純一が描いた赤いドレス~2000年代:資生堂TSUBAKI)というように、これまでの「色」というものを紐解く「(いわゆる)学術書」のテイストを帯びながらも、興味深い多角的なアプローチで読み進むこと(もちろんカラー性も秀逸)のできる、おすすめしたい1冊である。